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メイド・イン・ジャパン:
フェイク・フード(食品サンプル)工場を訪ねて

レストランのショーケース 大きなホールの中に立って見回すと周りは大きなキッチンのようです:ピカピカの作業台の上には細かく切られた野菜の山、その横には魚のフライと焼いたハンバーグがあります。巨大な袋には麺とエビが貯蔵されています。全てが新鮮で食欲をそそります。何メートルにもわたって空のお弁当箱が並べられ、粘り気のあるご飯の山が丁度詰め込まれていきます。若い女性が何ダースものスープ皿に、小さなきのこと小口切りのアサツキを芸術的に飾り付けています。どのスープ皿も細部にいたるまで全く同じに見えます!その横ではピザにチーズが載せられるところで...美味しそう!

そう!そしてあるテーブルでは、赤いチェリーとクリームで飾られたばかりのとても魅力的なアイスクリームパフェを見つけました。もう少しでよだれが出るくらい!でもクリームの押し出し袋を見て、遅まきながらすべてが食品サンプルだと分かりました。アイスクリームパフェに注入されたのはホイップクリームではなく、シリコンでした。私の嗅覚も本物のキッチンにいるのではなく、食品サンプル工場にいることを伝えてきました:食べ物の香りではなく、合成物質と染料のにおいが立ち上ってきます。フライパンやお玉の代わりにここではプラスチックのかたまりと絵筆が使用されています。

見間違うほど本物に見えるプラスチックの食べ物は、シリコンやポリ塩化ビニールで作られます。緻密な写真かレストランから工場に届けられる実物の料理を手本として押し型が作られます。それを元に金型を作り、液状のプラスチックを充填します。続いてオーブンで乾燥させます。仕上がった未加工の鋳造物はしかるべき形に切り取られ、手で彩色され、もう一度乾かされます。機械で製造できる部分は僅かで、手が掛かる細かい作業により、数多くの個々の部品から完全なプラスチックの料理が仕上げられます。

食品サンプル工場での仕事は(当人自らは芸術家ではなく職人として認識している)従業員にかなりの器用さと経験を要求します。形と色が細部に亘って酷似し、顧客が満足するモデルを作り上げるまで何度も試作が必要です。即席に作ることはここでは望まれていません!この手作業の製品はまたそれに見合った価格になっています:プラスチックの料理は食べられる料理の10倍の値段です!

料理をプラスチック・モデルとして製造するというアイディアは、岐阜の岩崎瀧三が約90年前に思いつきました。彼は、日本のレストランでどんどん聞き慣れない、わかりにくい名前の料理が提供されていることに気がつきました。岩崎氏は長い間実験を繰り返し、蝋で最初のモデルを作りました:オムライスです。

大阪で食品サンプルの快進撃が始まりました。その地で岩崎氏はまず自転車でレストランに売りにでかけ、日増しにお得意様が増えました。彼の天才的な発明のお陰で、日本ではお客はレストランに足を踏み入れる前に食事を選ぶことが出来ます。